改葬とは?手続きや費用相場、メリットとデメリットを徹底解説 | お墓のキホン | 石乃家(いしのや)

改葬とは?手続きや費用相場、メリットとデメリットを徹底解説

無縁仏が社会問題となっている昨今、改葬の件数も増加しています。承継者のいない方や、お墓参りが困難になっている方が、近い将来のために改葬を選択しています。

改葬とは、いわゆるお墓のお引越しのことです。しかし改葬するにあたって、何から始めたらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、改葬をおこなう際の手順や費用の相場、注意点などについて解説します。

改葬はお墓のお引越し

改葬はなぜこれほどまでに注目されるようになったのでしょうか。その背景や改葬の方法、墓じまいとの違いについても確認してみましょう。

改葬が増えている事情

厚生労働省が発表した「令和2年度衛生行政報告例」によると、令和2年度には全国で11万件を超える改葬があったことが分かっています。改葬が増加している理由は、大きく分けて2つあります。

ひとつは、少子化による承継者問題です。晩婚化・少子高齢化により、お墓の承継者のいない方々が、管理しやすい方法への改葬を選択しています。自分たちが亡くなったあとを思案し、お墓参りしやすい場所に改葬したり、永代供養付きのお墓を確保したりするケースがあります。

もうひとつは、転勤や結婚にともなってお墓から遠い場所に引越した方が、改葬するケースです。お墓を管理しやすいように、自宅の近くにお墓を移す改葬も増えています。高齢になるとさらに、遠方へのお墓参りが身体的な負担になるでしょう。運転免許証の返納も相まって、アクセスしやすい霊園や墓地への改葬を希望する方もいます。

参考:衛生行政報告例 第4章 生活衛生 6 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

墓じまいとの違い

改葬と似たような言葉に、墓じまいがあります。墓じまいと改葬をほぼ同じ意味で捉えている方もいらっしゃいますが、厳密には別の意味で使用される言葉です。墓じまいとは、墓石を撤去し、墓地を更地に戻す一連の流れを指しています。
それに対し、改葬はあくまでもお墓のお引越しのこと。お墓に眠る遺骨を取り出し、別の場所に埋葬します。改葬にともなって、遺骨を取り出したお墓を墓じまいする場合もあるでしょう。

改葬にはどんな方法がある?

改葬には、新しく墓石を建立する、永代供養付きの納骨堂や樹木葬に移るなど、さまざまな選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、ご自身のライフスタイルや予算と照らし合わせて決めましょう。

晴れた日の墓

改葬の手順と手続き方法

お墓や遺骨の取り扱いは法律で定められているため、改葬をおこなう際は、手順通りに進める必要があります。手順を間違えると、法律違反やトラブルに発展する可能性があるため、確実に手続きを進めましょう。

関係各所への相談

手続きを始める前に、関係先へ相談に行きます。親族はもちろん、現在のお墓がある霊園や墓地、寺院にも事前に相談する必要があります。この時点でしっかりと相談しておかないと、後々大きなトラブルに発展する可能性があるからです。
年配の方は特に、改葬に対して強い嫌悪感を抱いている方もいらっしゃいます。こちらの考えを押し付けることなく、相手の気持ちやお墓に対する思い入れも理解しましょう。お互いに譲り合う姿勢が大切です。
また改葬先や費用の負担、お墓の名義についても確認しておくと安心です。

改葬先を探す

関係各所の了承を得たら、お墓のお引越し先を探します。改葬先には、新しい墓地のほかにも納骨堂や樹木葬、海洋散骨など、さまざまな方法があります。どの辺りにどのような方法で改葬するのか、比較・検討しましょう。
改葬先が見つかったら「受入証明書」を発行してもらいます。受入証明書は、引越し先の市区町村に提出する書類です。改葬許可証を入手する際に必要になりますので、大切に保管しておきましょう。

改葬許可申請書を入手

改葬先決定後、現在のお墓がある市区町村の役場で「改葬許可申請書」をもらいます。役所で受け取ってもよいですし、自治体のホームページからダウンロードして印刷しても構いません。改葬許可申請書の内容は、自治体によって異なります。遺骨の柱数分、枚数が必要な場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

埋葬証明書を入手

現在のお墓がある霊園や墓地、寺院に「埋葬証明書」を発行してもらいます。自治体によっては、改葬許可申請書に「管理者証明欄」が記載されています。その場合は、埋葬証明書は不要です。管理者欄への署名・捺印をお願いするとともに、これまでお世話になったお礼を伝えましょう。

改葬許可証を入手

新しい墓地のある自治体に、以下3点の書類を提出します。

  • 受入証明書
  • 改葬許可書
  • 埋葬証明書

3点揃えて提出すると、改葬許可証を発行してもらえます。改葬許可証は、移転先のお墓の管理者に提出しましょう。

遺骨の取り出し・閉眼供養

改葬先の準備が整ったら、埋葬されている遺骨を取り出します。遺骨を取り出す際には、閉眼供養と呼ばれる儀式が必要です。閉眼供養とは、お墓から仏様の魂を抜き、ただの石に戻す儀式です。僧侶を呼んで読経してもらいましょう。

改葬先で開眼供養

取り出した遺骨は、改葬先の新しいお墓に納骨します。遺骨が汚れていた場合は、洗骨して新しい骨壺に入れてもらいましょう。納骨の際は僧侶を呼んで、開眼供養をおこないます。ただの石であった墓石に、魂を込める儀式です。開眼供養や納骨には、僧侶や管理者の予定も関係してきますので、納骨の日程は早めに調整しておきましょう。

タブレットを見て悩むご夫婦

改葬にかかる費用の相場

改葬には、さまざまな費用が発生します。費用の工面が負担になってはいけませんので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

お墓の撤去費用

お墓を撤去する工事費としては、1平米あたり20〜40万円が必要です。霊園など、丁寧に整備されている場所では1平米あたり10万円程度といわれています。霊園によっては指定の石材店がある場合もあるため、工事業者を探す際は注意しましょう。

離檀料

寺院が管理する墓地を利用している場合は、お墓の引越しと同時に離檀料を請求される場合があります。離檀料は10〜20万円が相場といわれていますが、寺院や僧侶の考え方によって大きく異なります。離檀料のトラブルも、決して少なくありません。後述するトラブル事例も参考にしてください。

閉眼供養・開眼供養

お墓から遺骨を取り出したり、納骨したりする際には、閉眼供養や開眼供養が必要です。供養は僧侶を呼んで読経してもらうため、お布施を用意しておきましょう。相場は1~5万円といわれています。地域や寺院によっても異なるため、不安な方は詳しい方や石材店に相談してみましょう。

行政手続きに関する手数料

先述した書類の発行にも、手数料がかかる場合があります。手数料は霊園や自治体によって異なりますが、無料〜数千円程度です。それほど大きな負担ではありませんので、安心してください。

電卓で計算をしている様子

改葬のメリット・デメリットを確認

改葬にはさまざまなメリットがあるものの、同時にいくつかのデメリットもあります。メリットとデメリットを天秤にかけ、最適な改葬方法を見つけてください。

改葬のメリットは大きく3つ

改葬するメリットとして、大きく分けて次の3つがあげられます。

  • 利便性の向上
  • 後継者問題の解決
  • 経済的負担の軽減

改葬する1つ目のメリットは、利便性の向上です。自宅から近い場所にお墓を移転すれば、お墓の管理がしやすくなるでしょう。整備された霊園や納骨堂に改葬すれば、車椅子の方でも足を運びやすくなります。車の運転を控える年齢になった方が、アクセスのよい場所への改葬を検討するケースも数多くあります。

2つ目のメリットは、やはり承継者問題の解決です。承継者のいない方は、自分たちが亡くなったあとを心配し、永代供養付きのお墓への改葬を検討されています。たとえ子どもがいても、女の子しかいない場合や、一人っ子でいずれは承継者不足が想定されるなど、さまざまなケースが考えられます。早い段階で問題を解消しておこうと考える方は、改葬を検討してみてはいかがでしょうか。

また3つ目のメリットは、経済的な負担軽減です。お墓が自宅から近くなれば、お墓参りにかかる交通費が削減できます。合祀墓や樹木葬、納骨堂などに改葬すれば、新しくお墓を建てるよりも費用を抑えられます。そのほか、霊園や墓地の年間管理費や墓石の修繕費など、お墓にかかる維持費も削減できるでしょう。

注意してほしい改葬のデメリット

経済的負担の軽減がメリットとはいえ、改葬には一定の費用がかかります。お墓を撤去する工事費や新たなお墓の購入費、法要にかかるお布施など、あげればキリがありません。しかし長い目で見れば、不便さを感じているお墓を維持するよりも、さまざまな費用を削減できます。改葬によって精神的な負担も軽くなるため、多面的な視点で検討してみましょう。

また関係者とのトラブル発生にも注意が必要です。お墓に対する価値観は人によって異なるため、改葬に反対する親族もいるでしょう。周囲の反対を押し切って改葬し、親族と絶縁状態になってしまったケースも少なくありません。反対意見にも耳を傾け、時間をかけて話し合う必要があります。

メリットデメリット

改葬にかかるトラブル事例

最後に、改葬によって起きたトラブルの事例を紹介します。トラブルに発展すると、解決までに時間がかかったり、修復不可能な状態になったりする可能性があります。トラブルに発展しないためには、事前の心構えや準備が重要です。

親族とのトラブル

そもそも改葬に、親族や関係者の承諾は必要ありません。改葬の決定は、墓地の権利者やお墓の名義人が単独でおこなえます。しかしそれを逆手に取り、関係者の承諾を取らないまま勝手に改葬すると、大きなトラブルになりかねません。良好な関係性を続けるためにも、改葬には十分な話し合いが必要です。

寺院とのトラブル

新聞やテレビのニュースで、改葬により法外な離檀料を請求されたという話を聞いたことのある方もいらっしゃると思います。改葬や墓じまいで寺院の管理する墓地から離れると、檀家から外れるため、離檀料を請求される場合があります。檀家料は寺院にとって大切な収入源です。寺院の存続にも関わるため、改葬に反対する僧侶も多いと聞きます。

円満に改葬の許可をもらうには、やはり事前の相談が重要です。決定事項として報告にいくと「何の相談もなしに罰当たりなことを」と取られてしまう可能性があるため、あくまでも「相談に来た」という姿勢を貫き、僧侶の理解を得ましょう。

石材店とのトラブル

改葬時には、石材店に墓石の撤去工事を依頼します。しかし霊園や墓地によっては指定石材店があり、そのほかの石材店には依頼できない場合があります。すると他社から見積もりを取ることもできないため、予想以上に高額な見積もりが届いたり、見積もりとかけ離れた額を請求されるなどのトラブルがあるようです。また、なるべく安価に受注してくれる業者を探そうとインターネットで運営母体のよく分からないところにお願いした結果、墓石を不法投棄されていたというトラブルもあります。悪質な石材店を避けるためにも、必ず数社から見積もりをとり、あまりに安価な業者には依頼しないようにしましょう。

悩む男性

まとめ

改葬にかかる手続きは、法律で定められており、多くの書類が必要です。手順通りに進めていけば、専門的な知識がなくても改葬手続きはスムーズに終わるでしょう。ただし、親族や寺院とのトラブルには注意が必要です。事前の相談や準備を怠ると、取り返しのつかない問題に発展するおそれがあります。改葬にはさまざまなメリットがありますので、親族と話し合って、よりよいお墓の形を見つけてくださいね。

 

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