お墓の名義変更にはどのような手続きが必要?書類・費用も解説
お墓の名義人が亡くなった場合、お墓の名義変更が必要です。土地や建物、自動車と同じように、お墓にも名義人が定められているからです。
とはいえ、お墓の名義変更は人生に何度もある出来事ではないため、必要な手続きや書類がわからない人も多いかと思います。
そこでこの記事では、名義変更に必要な手続きや書類について解説します。
お墓の名義変更に関するよくある質問にも回答しています。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
名義変更する適切なタイミングとは?
お墓の名義変更は、どのようなタイミングで行うのが正しいのでしょうか。基本的には、お墓の名義人が亡くなったときにお墓の名義変更は行われます。亡くなってから名義変更するまでの期間に定めはありません。
身近な人が亡くなったあとはさまざまな手続きに追われたり、心の整理に時間がかかったりします。そのため落ち着いてから、お墓の名義変更手続きに取りかかっても問題ありません。ただ霊園や墓地によっては規則があるため、気になる方は、霊園や墓地の管理者に問い合わせておきましょう。
名義変更の手続き・手順
お墓の名義変更にはどのような手続きが必要なのでしょうか。ここからは、名義変更にともなう手続きや必要書類、具体的な手順について解説します。ただ名義変更に必要な手続きは管理団体によって異なるため、詳しい手続きの内容は該当する管理者に確認しましょう。
1.管理者に連絡
まずはお墓のある霊園や墓地を管理している団体や住職に、名義変更したい旨を連絡しましょう。公営霊園の場合は自治体が管理者です。自治体の役所にある担当の窓口に電話して問い合わせます。民間霊園の場合は、管理事務所に直接問い合わせるとよいでしょう。必要な書類や手順も合わせて確認しておくと、二度手間になりません。
2.必要書類を準備
管理者から提示された必要書類を用意します。全ての書類が揃わないと、お墓の名義変更ができません。
一般的に必要となる書類は、以下のとおりです。
- 名義変更届
- 永代使用許可証
- 住民票
- 戸籍謄本
- 印鑑証明書
役所で発行してもらう書類も多いため、一度に全て入手できるようリストを作っておくと安心です。平日に役所に足を運べない方は、コンビニでの行政サービスがおすすめです。マイナンバーカードを所持していれば、コンビニのマルチコピー機から各種書類が発行できます。
3.手数料の支払い
一般的に、お墓の名義変更には手数料がかかります。手数料の金額は管理団体によって異なりますが、相場は1,000〜5,000円です。公営霊園は数千円で名義変更できるのに対し、民間霊園は1万円前後の手数料が発生することもあるようです。心配な方は、事前に問い合わせておきましょう。
お墓の名義変更の際に必要な書類
先述したように、お墓の名義変更には多くの書類が必要です。どのような書類をどこで入手するのかも、確認しておきましょう。
名義変更届
お墓の名義変更を、管理者に告知するための書類です。お墓を管理している団体から入手します。
公営霊園:霊園のある自治体の役所
民間霊園:霊園内にある管理事務所
寺院墓地:お寺の住職
もし管理者がわからない場合は、霊園内にある掲示板や看板に記載されていないか探してみましょう。墓地を契約した際に受け取った書類にも、記載されているはずです。どうしてもわからない場合は、自治体の役所への問い合わせをおすすめします。担当部署につないでもらえれば、詳しく調査してもらえるかもしれません。
永代使用許可証
「永代使用許可証」とは、墓地購入の契約時に受け取った書類のひとつです。「墓地使用許可証」と呼ばれる場合もあります。永代使用許可証には、名義人が記載されているため、新しい名義人に変更して作り直す必要があります。許可証の多くは以前の名義人が保管していますが、見つからない場合には再発行も可能です。霊園の管理者に依頼して、再発行してもらいましょう。ただし、永代使用許可証の再発行には手数料がかかります。
名義変更が完了し、新たに永代使用許可証を受け取ったら大切に保管しておきましょう。永代使用許可証の保管場所を、親族の方にも共有しておくと今後も安心です。
戸籍謄本・住民票
以前の名義人との関係を証明するため、戸籍謄本が必要です。二人の関係性がわかるよう、二人の名前が記載されている戸籍謄本を入手しましょう。名義人の死亡によって名義を変更する場合は、死亡年月日が記載されている戸籍謄本を用意してください。なお発行から3ヵ月以内の戸籍謄本のみ、と規定している場合が多いため、発行日を確認しておきましょう。
また新名義人の住民票が必要となる霊園もあります。忘れないように、同時に取得しましょう。
印鑑証明書
名義変更届には、新しい名義人の実印を押す欄があります。そのため、印鑑証明書を添付して実印であることを証明しなくてはいけません。印鑑証明書も、ほとんどは発行から3ヵ月以内の制限があります。名義変更届に押印が不要な場合、実印でなくてもよい場合は、印鑑証明書は必要ありません。
その他
霊園によっては、以下のような書類の提出が必要なこともあります。
- 喪主を務めたと証明できる書類
- 誓約書
- 新名義人を定めた遺言書
- 親族の同意書
特に、相続の状況が特別な場合に求められるようです。二度手間、三度手間を防ぐためにも、事前の確認を怠らないようにしましょう。
お墓の名義変更にかかる費用
お墓の名義変更には、手数料が請求されます。相場は以下のとおりです。
- 公営霊園:数百円~数千円
- 民営霊園:~1万円
- 寺院墓地:~5,000円
公営霊園は数千円程度の費用で済みますが、民営霊園は数千円から1万円程度がかかることもあります。それほど大きな金額ではありませんが、不安な場合は事前に確認しておきましょう。また、戸籍謄本や住民票の発行手数料が必要です。永代使用許可証を紛失している場合、再発行にも手数料がかかります。数百円程度で発行してくれる霊園もあれば、数千円と高額な場合もあるようです。
寺院によっては、名義変更手数料の代わりにお布施が必要になります。檀家としてのお付き合いにも関わるため、年長者や寺院との付き合いに詳しい方に相談してみましょう。
よくある質問
最後に、お墓の名義変更に関するよくある質問を確認しておきましょう。
承継者は誰にするべきか?
お墓の名義人が亡くなったら、どなたかに名義を変更しなくてはいけません。一般的には、配偶者や兄弟・長男が承継者となります。特に遺言がなくても、自然と承継者が決まる家庭が大半ではないでしょうか。生前に話し合いがあれば、お墓の承継者決定や名義変更の手続きもスムーズです。しかし少子高齢化も相まって、血縁者に承継できる人がいないケースも考えられます。そのような場合は生前に深い付き合いのあった縁故者でも承継できます。霊園によっては、承継できる人を血縁者のみに限定していることもあるので注意しましょう。
生前の名義変更は可能か?
終活のひとつとして、お墓の名義変更を生前に行いたいと考える方もいらっしゃるでしょう。もちろん、生前でもお墓の名義を承継者に引き継ぐことはできます。ただし「お墓の名義変更は名義人の死亡時のみ」と規定している霊園では、生前の名義変更は認められません。特別な事情がある場合は、霊園に相談してみましょう。
承継したら登記が必要?
墓地の永代使用権は、土地の所有権とは異なります。あくまでも、お墓を建てる土地を永代使用できる権利であり、土地の所有権は保有していません。そのためお墓を承継しても、登記は不要です。ただし、故人の所有地にお墓を建てていた場合は、登記が必要です。お墓のある土地の謄本を取得し、所有権の移転を登記しましょう。
名義変更をしないとどうなる?
お墓の名義変更に期限はありません。しかし名義変更しないと、霊園や墓地の管理者は、承継者に管理費を請求できません。つまり管理費の滞納となり、お墓を撤去される可能性が高まります。無縁仏として扱われる前に適切な手続きをおこない、お墓の名義変更をしましょう。
お墓を相続すると税金がかかるの?
土地や建物などの不動産を相続すると、相続税がかかります。しかしお墓は「祭祀財産」といって、相続税の課税対象ではありません。そのため、名義を変更してお墓相続しても、税金はかかりません。
お墓の名義人を兄弟二人の連名にできますか?
お墓の名義人は、原則一名に決めなくてはいけません。霊園によっては、複数名を名義人に定められる場合もありますが、管理費の請求時に混乱を招く恐れがあります。とはいえ、兄弟でお墓を管理したいと思う方も多いでしょう。管理費を含む維持費の負担や、お墓の清掃や管理は、複数名で分担しても構いません。
まとめ
お墓の名義変更には、多くの書類が必要です。また必要な書類は霊園・墓地によって異なるため、管理者に確認しておきましょう。書類が用意できれば、あとは手数料の支払いを終えるだけです。お墓の名義変更にかかる手数料は、公営霊園は数千円、民間霊園は1万円程度と開きがあります。寺院墓地の場合は、檀家としてのお布施が必要となる場合もあるため、相場がどのくらいかは寺院とのお付き合いが長い方に相談してみましょう。
墓地や霊園の購入などを検討されている方は、お気軽に石乃家の総合案内や資料請求にてお問合せください。