お布施の書き方とは?包み方や金額、正しいマナーを徹底解説
お布施とは、葬儀や法要の際に僧侶にお渡しする謝礼のようなものです。
葬儀や法要は頻繁に経験するものではないため、お布施の書き方や包み方の正解が分からず困っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、お布施の書き方や包む方法、金額などのマナーについて解説します。
お布施とは
お布施とは、葬儀や法要で読経してもらったり戒名をいただいたりした際に、僧侶へのお礼として包む金銭のことを指します。読経や戒名の対価ではないため、読経料や戒名料とは呼びません。
そもそも「布施」とは、仏教的な考えにおける修行の一貫です。見返りを求めずに行を施すことで、功徳を説くという教えがあります。
そのため、お布施に明確な金額はありません。お布施は本尊にお供えされ、寺院の維持管理のために使われます。
お布施の書き方
お布施の書き方は、不祝儀袋の書き方に似ています。
ここではお布施の表書き、中袋、裏面の3つに分けて、正しい書き方を解説します。
表書きの正しい書き方
お布施の表面には、上半分に「御布施」と記載します。
下半分には、喪主の名前を「名字のみ」もしくは「フルネーム」で記載しましょう。お布施は「家」として用意するものなので「名字+家」のようにしてもかまいません。その場合は喪主の名前を裏面にフルネームで追記します。
お布施以外にも「御車料」や「御膳料」を渡す場合があります。表面の上半分に「御車料」もしくは「御膳料」と記入して、お布施とは別に準備しておきましょう。
中袋には金額を書く
中袋とは、紙幣を入れるための簡易的な袋のことです。中袋の表面中央には、お布施金額を旧漢数字で記入しましょう。
・10万円:金拾万圓也
・15万円:金拾伍万圓也
お布施の金額は旧漢字体を利用して書きます。漢数字の「一」「二」などは、簡単に改ざんできてしまうためです。
中袋の裏面には住所・電話番号・氏名の項目を忘れずに記載しましょう。
中袋がない封筒タイプでは裏面にも記載
中袋や半紙を使って紙幣を包んだあと、さらに奉書紙で包むのが、お布施の正式な形式です。
しかし最近では、中袋のない白い封筒で対応するケースも増えています。白い封筒で対応する場合には、裏面にも必要事項の記載が必要です。
封筒裏面の右上には金額を、左下には氏名や住所などを縦書きで記入します。
お布施の包み方
お布施の包み方には、大きく分けて2種類あります。
奉書紙を使って包む方法と、白い封筒を利用する方法です。より丁寧な印象を与えるのは、奉書紙を使った包み方です。とはいえ、簡易的な白い封筒でもマナー違反には当たりません。
ここからは、詳しいお布施の包み方を確認しておきましょう。
奉書紙での包み方
お布施は「奉書紙(ほうしょがみ)」と呼ばれる厚みのある和紙で包むと丁寧です。
奉書紙を使ったお布施の包み方は以下のとおりです。
1.半紙で紙幣を包み、中包みをつくる
2.奉書紙のザラザラした面を上にして、中包みを置く
3.中包みの左右を折る
4.中包みを基準にし、下・上の順で折る
まず、半紙の左上の隅を右端に揃うように折ります。できた三角形の中央部分に、紙幣の表面が上向きになるように揃えて置きましょう。
続けて、紙幣の両端に揃うよう、半紙を谷折りにします。次に、紙幣の上の辺に沿うよう、谷折りを2回繰り返して折り込んでいきます。これで中包みは完成です。
奉書紙のザラザラした面中央に中包みを置き、左右を内側に折ります。最後に上下を谷折りにすれば、完成です。
奉書紙は上側が下側にかぶさるように畳みます。これは不祝儀袋を包む際と同じ意味合いで「悲しみが水に流れるように」との想いが込められています。
白い封筒も利用可
お布施は白い封筒を使って包んでもかまいません。郵便番号が書かれていない無地の封筒を利用しましょう。
ホームセンターや100円ショップにも「お布施」や「御布施」と印刷されたタイプが販売されています。封筒の表側かつ上部に、紙幣の肖像画の面がくるように入れましょう。
白封筒を使うときには中袋を使ってはいけません。二重の封筒は、不幸の連鎖を想像させるからです。
水引について
香典袋には水引が付いていますが、お布施を入れる袋にはどのような水引がよいのでしょうか。結論、お布施を入れる袋には、水引は不要です。
そもそも水引は、魔除けや故人を供養する意味があります。お布施は僧侶への感謝の気持ちなので、水引は必要ありません。
もし、水引のついた不祝儀袋を、お布施袋として利用する際には、結び切りの水引を選択しましょう。結び切りの水引には「繰り返さない」「一度きり」の意味が込められています。黒白、もしくは黄白が一般的です。
お金の入れ方
中包みや白い封筒の中に入れるお金、どの向きで入れたらよいのか悩みますよね。お布施のお金の入れ方にも、ルールがあります。
新札か比較的新しいお札を用意
通夜や葬儀の場合、香典には新札を使わないのがマナーですが、これは、急な訃報で新札を用意できなかったことをあらわします。新札を使用すると、あらかじめ故人の逝去を予測していたという印象を感じさせるからです。
しかしお布施は、僧侶への感謝の気持ちをあらわすために納められるものです。時間に余裕があれば、銀行などで新札を用意しましょう。もし新札が用意できない場合は、比較的きれいで新しそうなお札を用意します。あまりにも古く汚れているお札は控えた方が無難でしょう。
お札の向き
お札を入れる際は、封筒の表側にお札の表面がくるようにしましょう。お札の表面とは、肖像画が印刷されている面です。一万円札なら福沢諭吉が、封筒の表にくるように入れます。
さらに肖像画が封筒の上部分にくるよう、お札の左側から封筒に差し込みます。半紙で中包みをつくる場合は、お札の表面が上を向くように半紙に置きましょう。
お布施の渡し方
お布施は、葬儀や法要を担当してくれる僧侶に直接渡します。葬儀社を経由したり、寺院の事務所に持って行くものではありませんので、注意しましょう。
ここでは、失礼のないお布施の渡し方を解説します。
お布施を渡すタイミング
僧侶に直接手渡しするといっても、いつ・どのような方法でお布施を渡せばよいのか、ピンとこない方もいるのではないでしょうか。
お布施をお渡しするのは、葬儀や法要の当日、僧侶にご挨拶するタイミングがベストです。法要のあと会食がおこなわれる場合は、会食が終わったタイミングでお渡しします。
お布施を渡す際のマナー
お布施袋のまま差し出したり、畳の上に直に置いたりしてはいけません。お布施は袱紗に包むか、切手盆や祝儀盆などに乗せておきましょう。袱紗はホームセンターや100円ショップ、切手盆や祝儀盆は仏具用品店や冠婚葬祭用品などで購入できます。
お布施を渡す際の挨拶
お布施は簡単な挨拶とともに、僧侶にお渡ししましょう。
法要前にお渡しする場合には「お世話になります。本日の法要、よろしくお願いいたします。こちら、どうぞお納めください」のような挨拶が適しています。
法要後に会食がある場合は「本日はありがとうございました。どうぞお納めください」と、感謝の言葉とともにお渡しします。
お布施の金額相場は?
お布施の書き方やお金の入れ方と同じくらい、気になるのはお布施の金額相場ではないでしょうか。
僧侶に尋ねても「お気持ちで結構ですよ」と言われてしまう場合が多く、途方に暮れてしまうでしょう。
もちろん「お気持ち程度」でかまいませんが、相場を大きく下回らないよう注意が必要です。
一般的には、以下のような金額でお布施はおこなわれているようです。
通夜・葬儀:20~50万円
四十九日法要:3~5万円
一周忌法要:3~5万円
納骨法要:3~7万円
しかしお布施を渡す法事の種類、地域や宗派でも異なるので一概にはいえません。どうしても僧侶に確認したい場合は「他の方はどのくらい納められていますか?」と、間接的に聞きましょう。不安な場合は、葬儀会社や親族の年長者に相談してみるのもおすすめです。
御車代と御膳料は、5千円〜1万円が相場となっています。
お布施を書く際の注意点
お布施の文字を書く際は、毛筆や筆ペンを使用しましょう。ボールペンやマジックなどはマナー違反です。
また、薄墨ではなく黒墨で書きます。香典のマナーである薄墨は、お布施には該当しません。
中包みや白い封筒には、名前や住所、金額を記載してあげると親切です。ご祝儀や香典などを受け取った経験のある方は共感できるかと思いますが、袋に金額や名前が記載されていると管理が楽になります。
寺院の規模によっては、お布施の確認や管理に時間がかかってしまうでしょう。後日の確認でも、誰から・いつ頃受け取ったかすぐにわかるよう、封筒裏面の左下に記載します。
またお布施と御車代、御膳料は別々に包むのがマナーです。全ての項目を一緒に包んでしまうと、混乱を招いてしまいます。
お布施と同時に御車代や御膳料を渡す際は、一番上にお布施、その下にお車代と御膳料を重ねておきましょう。パッと見てすぐに、御車代や御膳料があると認識できるようにしておくと、受け取る側も安心できます。
まとめ
お布施をおこなう際には「お布施」と記載した奉書紙や白い封筒を用意します。あらかじめ印刷されている市販のお布施袋を利用すると、わかりやすいでしょう。中袋には金額を旧漢字体で記載します。
中袋のない封筒タイプでは、裏面にも記載する項目がありますので、紹介した内容をよく確認しておきましょう。
その他、お布施の金額や包み方などのマナーにも注意が必要です。僧侶への敬意や感謝の気持ちをあらわす意味合いを忘れずに、お布施を用意しましょう。
墓地や霊園の購入などを検討されている方は、お気軽に石乃家の総合案内や資料請求にてお問合せください。