お墓の移動に必要な5つの手順をわかりやすく解説!かかる時間と費用も紹介 | お墓のキホン | 石乃家(いしのや)

お墓の移動に必要な5つの手順をわかりやすく解説!かかる時間と費用も紹介

お墓を移動させたい、あるいは新たなお墓に買い替えたいと考えたとき、どこから手を付ければよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

「お墓を移動する」とはいっても、実にさまざまな方法があるだけでなく、ご家族がしなければならないことも多岐にわたります。

この記事では、お墓の移動に必要な5つの手順を中心に、具体的に何をしなければならないか、どれくらいの時間や費用がかかるのかなどを詳しく解説いたします。

今あるお墓を新たな墓地に移動する。簡単なことのようで案外そうでもありません。たとえば、新しい墓地の区画内に今あるお墓がきちんと納まるか、お墓に納められたお骨はどのように取り扱えばよいか、知っておく必要があります。

お墓を移動するということは、【1】今あるお墓を解体する、【2】お墓に納められたお骨を取り出す、【3】新しいお墓を用意してお骨を納める、という手順を踏まなければなりません。そしてそのためには、次の5つの事柄をおこなう必要があります。

  • 新しいお墓を決める(6つの選択肢)
  • 墓地の返還手続き
  • 改葬許可申請
  • 僧侶による性根抜き
  • 石材店による墓じまい工事

それぞれ具体的に解説していきます。

お墓の移動に必要な5つの手順

新しいお墓を決める

まずは、新しいお墓について考えなくてはなりません。「どの墓地に」「どのようなお墓にするか」を検討して、実際に霊園を巡りましょう。ここでいう「お墓」とは、いわゆる墓石に限らず、「お骨を納めてお参りできる場所」を意味します。このように定義を広げてみると、次の6つの方法が選択肢として考えられます。

お墓の移設

新たに墓地区画を購入して、今あるお墓を移設する方法です。「遠方にあったお墓を今住んでいる場所の近くに移したい」「ご先祖様がつないできた墓石に引き続きお参りしたい」と考える人がこの方法を選びます。

新たな墓石代がかからないため、新しくお墓を建てるよりは安く抑えられるかもしれませんが、従来の墓石が新しい墓地区画にきれいに納まるかどうかは慎重に検討しなければなりません。また、墓石を解体撤去し、新しい場所まで運搬して据付工事をするため、それらの施工費用がかかります。

お墓の新設

今あるお墓を墓じまいして、新たにお墓を建てる方法です。「自宅の近くでお墓参りしたい」「故郷のお墓は大きすぎる。もっと小さいお墓でよい」などと考える人が、お墓を新たに新設する傾向にあります。

最近では、洋風のデザイン墓石、コンパクトなお墓、夫婦2人だけが入れるお墓など、色やデザインも多様化しています。自分たちの希望の形にできるのも、お墓を新設するメリットでしょう。ただし、墓じまい工事や墓地の購入費、新しい墓石の石材と据付工事などに費用がかかります。どのようなお墓を建てるかにもよりますが、この記事でご紹介する6つの選択肢のなかでは最も高額になる可能性が高いでしょう。

納骨堂

納骨堂とは「納骨壇」と呼ばれる施設を持つ建物のことです。「屋内型のお墓」といえます。墓石を使わずに、「ロッカー型」や「仏壇型」の納骨壇に骨壺を収蔵してお参りをします。その他、バックヤードに保管された遺骨が参拝ブースまで運ばれてくる「自動搬送型」のような最新鋭の納骨堂も注目を集めています。

屋内であるため、天候に左右されずにお参りができます。お参りの負担が少ないことに加えて、納骨堂はお寺の経営によるものが多いため、墓じまいの心配がありません。そのため、永代供養に移行しやすいなどの理由から、近年は納骨堂を選ぶ人が増えてきています。

樹木葬

樹木葬とは、墓石ではなく樹木を墓標としたお墓のことです。花や緑に囲まれた環境のなかでお墓参りができます。墓石の建立ほどには費用がかからないことに加え、永代供養を前提としたプラン設計されているものが多く、跡取りや墓守を不要とする人たちを中心に人気を高めています。

個別の区画に好きな草花を植樹をする「個別型」、シンボルツリーのまわりに設けられた個別のカロートに納骨する「集合型」、ひとつの場所に複数のお骨を納める「合祀型」、自然の深い里山全体を墓地とみなしてお骨を埋葬する「里山型」など、タイプもさまざまです。

永代供養

永代供養とは、お寺や霊園にご先祖様の供養を任せることです。ご先祖様のお骨は「永代供養墓」や「合祀墓」と呼ばれる石碑のなかに、他の人と一緒に埋葬されます。墓石、納骨堂、樹木葬などで供養していた人たちも、最終的に墓守や跡取りがいなくなると永代供養にします。また、将来的に死後を託す人がいないとわかっている場合、はじめから永代供養にする人も少なくありません。墓石、納骨堂、樹木葬などと比べても安価ですが、一度預けた遺骨は戻って来ませんので、実施の際はしっかりと検討しましょう。

散骨

散骨とは、パウダー状にした遺骨を海や山に撒いて自然に還す葬法のことです。お墓を不要とする人や、自然に還る志向がある人に選ばれています。散骨における最大の特徴は、お骨を納めるための場所が不要なため、費用がそこまでかからないことです。一方、気を付けなければならない点もあります。散骨をする際は、必ずお骨を粉末状にして、お骨とわからない状態にしなければなりません。でなければ遺体遺棄罪に抵触するおそれがあります。

また、これまで前例がなかった葬法のため、2023年現在においても散骨を取り締まる法律がないのが実情です。散骨業者も、関連法や国の指針の解釈に沿う形で散骨をおこなっており、いわば「合法と違法の間の部分で散骨を実施している」といわざるを得ません。そのため、解釈によっては節度を超えた行為とみなされ、地元住民から反感を買うこともあります。実際に北海道長沼町をはじめ、日本全国のさまざまな自治体が条例を制定し、散骨の禁止や規制に乗り出しています。

新しいお墓を決める

墓地の返還手続き

新しいお墓が決まったら、いよいよお墓の移動を具体的に進めていきます。まずは、今あるお墓の管理人に、お墓を移動する旨を伝えます。そして墓地の返還手続きをおこないます。

墓地の使用権は譲渡や転売はできない

墓地は使用者のものではなく、墓地管理人に帰属します。つまり私たちは墓地の使用権を購入しているのであって、墓地そのものを購入しているわけではありません。つまり、墓地が不要となった際には、第三者への譲渡や転売はできず、必ず墓地管理者に返還しなければなりません。

寺院墓地の場合は離檀料が生じることもある

墓地の返還手続きはそんなに難しいものではありません。管理事務所が用意する書類に必要事項を記載するだけです。あとは、きちんと墓じまいをして、墓地購入時と同等の状態に戻すだけです(更地にする)。しかし、墓じまいによって菩提寺と檀家の関係が解消される場合には「離檀料」を納めなければならないことがあります。これは、お寺の境内にお墓がある場合に生じやすい問題です。離檀料に関する考え方はさまざまですが、もしも墓地購入時に契約を交わし、そのなかに離檀料の旨が記載されていれば、契約書に書かれているとおりの対応をしなければなりません。

ただ、ほとんどの境内墓地は契約書を交わさずに、お寺と檀家のいわば信頼関係によって成り立っています。離檀料は必ず用意しなければならないものではないとされていますが、もしも納めるのであれば、これまでご先祖様を供養してくれたお寺に対して感謝の気持ちを込めた「お布施」とするのが理想です。

このあたりは菩提寺と檀家の関係性によって大きく異なりますので、まずはお寺に相談してみましょう。

墓地の返還手続き

改葬許可申請の方法

遺骨を別の場所に動かすことを「改葬」と呼びます。そして改葬をするには改葬元の自治体から改葬許可を得なければなりません。改葬許可申請に必要な書類は役所で入手します。ほとんどの自治体ではホームページからダウンロードできるようになっています。そのうえで、次の手順で進めていきます。

  1. 改葬元の自治体が定める「改葬許可申請書」に必要事項を記入します
  2. 改葬元の墓地管理者から「納骨証明書」を発行してもらいます
  3. 改葬先の墓地管理者から「受入証明書」を発行してもらいます(「墓地使用許可証」など、遺骨を受け入れることがわかる書類であればよい)
  4. 1. 2. 3. を改葬元の役所に提出する。申請が受理されると「改葬許可証」が発行されます
  5. 「改葬許可証」を改葬先の墓地管理者に提出します

改葬許可申請はそこまで難しいものではないため、自分自身でもできますが、行政書士による代行も可能です。

改葬許可申請の方法

僧侶による性根抜きとお骨出し

新しいお墓が決まり、墓地の返還手続きも済み、改葬許可もおりたら、いよいよ墓石の撤去にとりかかります。しかし、墓石を撤去する前に必ずしなければならないのが、僧侶による性根抜きです。

墓石のなかには仏さまの霊魂が宿り、これまでお墓参りしてきた人たちの多くの念や想いが込められています。そのような礼拝の対象である墓石を解体する場合、あらかじめ僧侶を招いて、きちんとした儀式をとりおこなわなければなりません。多くの石材店は、お性根抜きのされていないお墓の解体を受け付けてくれません。お性根抜きの読経を頂いたあと、お墓からお骨を取り出し、家族の手に渡されます。このような墓前供養は、墓石のなかにある性根を抜くことから「性根抜き」と呼ばれます。この他に、「御霊抜き」「閉眼供養」などの呼び方もあります。

僧侶による性根抜きとお骨出し

石材店による墓じまい工事

石材店による墓じまい工事は、石塔やさまざまな石材の撤去、基礎部分の解体と土地の更地化が主な仕事になります。墓石を移設する場合は、新しい墓地まで運搬して据付工事をし、そうでなければ石材一式は処分します。

石材店による墓じまい工事

お墓の移動にかかる時間と費用

ここまでお墓の移動に必要な事柄を解説してきましたが、それでは日数や費用はいったいどれくらいかかるのでしょうか。

所要日数は、新しいお墓が決まってから1ヵ月程度

お墓の移動にはどれくらいの日数がかかるのでしょうか。個人差こそあるものの、新しいお墓が決まってさえいれば、そこから1ヵ月程度で済みます。以下、個別に詳しく見ていきましょう。

▶新しいお墓を決める
新しいお墓探しにはもっとも時間を費やしたいものです。墓石、納骨堂、樹木葬など、さまざまな選択肢から納得いく形を選びましょう。

▶墓地の返還手続き
公営霊園や民営霊園の場合、書類に必要事項を書き込むだけで済みます。離壇について話し合いが持たれる場合も、お寺側は離檀の意志を固辞できないことが多いため、時間はそこまでかからないでしょう。

▶改葬許可申請
改葬元の役所、改葬元の墓地管理人、改葬先の墓地管理人の三者と書類を交わさなければなりません。相手に事前に連絡をしておけば、書類のやり取りに時間を要すことはありません。

▶僧侶によるお性根抜き
お性根抜きのお勤め自体は30分程度です。

▶墓じまい工事
石材店の選定、現地同行、見積もりなどの行程を踏むので、ここにどれくらいの時間をかけるかは人によって異なるでしょう。墓じまい工事そのものはお墓の規模にもよりますが、通常1〜2日程度で完了します。

費用は、100〜200万円

お墓の移動にかかる費用は、新しいお墓の購入費と、墓じまい工事の費用で大きく変わります。墓石の移設や新設を希望するのであれば、墓地代と墓石代だけで、100万円や200万円という費用がかかります。しかし、最近人気の納骨堂や樹木葬だと、50万円前後が一般的な相場です。また、墓じまいの費用相場は30〜50万円ですが、墓地の大きさや石材の量によって大きく増減します。まずは石材店に現地を見てもらい、見積もりを出して予算感を把握しましょう。

この他にも、僧侶による性根抜きのお布施や、改葬許可に行政書士を依頼する場合はその報酬、離檀料が必要となります。こういった費用も考えておかなければなりません。

お墓の移動にかかる時間と費用

まとめ

ご先祖様が代々つないできた大切なお墓だからこそ、お墓やお骨の移動は丁寧におこなわれ、その分手間と費用がかかります。この記事を参考にしていただき、新しいお墓で満足のいくお参りをしてもらえれば幸いです。

 

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